俺はとりあえず学園に戻ってくる。おそらく簪が戻ってくるのは早くても明日の朝だろう
束さんには無理を言ったことはわかっている。だが箒を守るのに1人よりも2人のほうがいい
それに女だから守りやすいところもある。男の俺ではカバーできないところも多いのだから

「一夏さん。お嬢様が話があるので生徒会室に来てほしいと」

メガネがよく似合う生徒会の書記をしている彼女に声をかけられた
俺はまぁいいだろうと返事をすると生徒会室に向かった
生徒会室に入ると相変わらずの楯無の顔があった

「あなた。何を企んでいるの?篠ノ之束にコンタクトを取って私の妹に何を」

どこでかぎつけたのかわからないが。束さんとコンタクトを取ったのを知っていた
俺を監視しているということはよく理解できた。何を聞きたいのかはおおよそ想定できた

「それは言えないな。聞きたいなら本人に聞くことだ。もっとも、簪が簡単にしゃべるような人間じゃないだろうがな」

「どうしてそこまで言い切れるの?」

私なら姉の力を使ってというが実際問題のところ楯無に無理がある
決別した関係にあるのだから。簪の意思は明確だ
それにだ。俺は簪に訓練をする前にあることを言った
情報戦で最も重要なのはこちらの手札を見せないことが何よりも重要だと
相手よりも有利な情報を握っているほど勝率は高くなる

「まぁいいわ。必ず聞き出して見せるから」

「そう簡単にしゃべるとは思えないが、まぁ頑張るんだな」

俺は用件はそれだけかと聞くと楯無は他にはないわと返してきた

「それじゃ俺は警備室に帰らせてもらう」

俺は生徒会室を出ると警備室に向かって歩いていった
今頃束さんのところで簪がみっちりとトレーニングをしているはずだ
そのために目の前においしい餌を置いておいた。束さん用の俺のおいしい料理という切り札を
ISの訓練について終われば、あとは身体能力をどれだけ伸ばせることができるか。
それをはっきりと知っておかないとパートナーなどは邪魔者でしかない
簪はしっかりと自分の意思で選んだ道だ。たとえ修羅の道であってもそれを歩むと決めたのだ
俺はそれを尊重してパートナーとして組んでいくだけだ。
それにだ。1人よりも2人のほうが仕事がやりやすいことがあることは事実だ
警備室に戻ると俺は束さんに連絡を取ろうと思ったが、今はやめておいたほうがいいと思った
いつどこで監視されているかわからない。楯無はかなりしつこいだけに警戒するべきだ
公に俺がISを持っていることが分かれば亡国機業との関係もある。
連中も俺が持っていることはおおよそ察しがついているかもしれないが
公にならなければ問題にはならないだろうと考えていた