俺は取り調べを一通りしたが彼女は何も語ろうとしない
これでは手の出しようがない。念のため彼女の本国に問い合わせたが何も知らないと
まぁ当然と言えば当然だ。命令を出したとなると国家ぐるみの犯行となる
そうなれば国家の体裁を失う可能性がある。ISを失うのだ。
それがどれほど高い代償になるかはわかりきっている
面倒なことを避けるためなら彼女を切り捨てるだろう

「どうします?」

「あとはこっちで任せてもらえるかな」

「一等陸佐には何か落とすだけの材料が?」

「この件を政治的に利用する。本省と話をしたらこちらにあとは委ねてほしいと」

つまりこれを理由に彼女の所属国に対して圧力をかけるということだ
それはそれで面白い見世物になるだろうが。俺としてはほかに犯人がいないことを確かめたい

「念のためその後に経過事項についても情報提供をお願いできますか?」

「この件はこの学園の安全にかかわることになる可能性が高いから理解はしているよ」

理解はしているということは国家機密に該当する部分は明かすことはないと
俺としても厄介なことに巻き込まれることは避けたい
国家間の争いになれば、ここの不可侵協定が事実上破られる可能性がある
最悪の場合、戦争という事態にもなる。お互いをにらみ続ける冷戦だが
それでも戦争には変わりない。いずれは代理戦争になり、今度は当事国同士の争いになる

「できるだけ早く対応をお願いします」

「あとはこちらでしておくよ。一夏君にも情報が回るように上層部には伝えておくから」

俺はよろしくお願いしますというと警備室を出ていった


----------------------------

IS学園 学園施設内

私と霧崎さんは引き続き巡回をしていた。もちろん警戒態勢を取っていた。

「簪、肩の力を抜け。緊張感を持つのは重要だが、常に気を張っていると疲れるだけだ」

霧崎さんの言葉に私はわかりましたと答えたけど、どこで線引きをするのかわからなかった
迷惑をかけたくないが。霧崎さんは武器戦術戦闘のプロだ。私も彼らにおいていかれないように訓練を続けていくしかない

『簪、霧崎さんとのコンビはどうだ?』

携帯情報端末に一夏さんから連絡が入ってきた。私は問題なしですと答えた
もう少しで授業と授業の間の休憩時間だ。その時に何かあるかもしれない
一夏さんは警戒は続けろというと通信を終えた

「相変わらずだな。猟犬は。簪、君のことをかなり気にかけているようだ。しっかりとついていくんだな」

おいていかれないように訓練を積んでと霧崎さんに言われた。

「私も一夏さんには負け続けるつもりはありません。いつか同じくらいにまでレベルアップをしたいので」

「第2の猟犬を目指すわけか。楽しみだな。成長していくところが」