私の名前はリリア。
ユーフォニア国のお姫様ということになっているが
そんなことは私には関係ないと思ってる
私は籠の鳥ではないのだから、外に出たいという願望がまえからずっとあった。
このあいだようやく初めての城下町をお散歩したが
僅か数時間の出来事だったが。
私にとってはユメのような時間だった
あのときに食べたリンゴアメの味が今でも忘れられない
あれから1週間が経ち、今日はお出かけの日。
すっごくたのしみ。この楽しみのために苦しいお勉強に耐えているのだから
今日もこの前と同じように街娘の格好をして、お母様とスヴァンと一緒にお散歩に出かける
また楽しみなひと時の始まり!

「私、すっごく楽しみ」

思わず口に出して言うと、お母様は私の頭を撫でてくれた
お母様も私の気持ちは理解してくれているのだということは分かった
でも、立場上簡単に許可を出すわけにはいかない
王女が簡単に私を外に何度も出していたらいつ危険がくるかどうか分からない
幼い私でもそれだけは理解していた。
それでも外に出たいのだ。このお城の外に

「リリア、今日もリンゴアメを食べるの?」

私はもちろんはいと頷いた。

「あそこで食べたリンゴアメ、すっごくおいしかったんです」

「そう、よかったわね」

お母様はまた私の頭を軽く撫でてくれた。
そして目的の店に着くとお母様はリンゴアメを注文してくれた

「リンゴアメを1つもらえますか?」

「はい。それじゃ、どうぞ」

お母様が代金を払い渡しはまたリンゴアメを手に入れた。
味は前と特に変わりないが、外で食べているというのが格別だ
いつも城の中で窮屈な思いをしているからこそ
そして、また市場の中心地である噴水の場所まで来た。
今日もこの周囲は活気にあふれている。

私は簡単なアクセサリーを売っている店に目が留まった

「お母様、あのアクセサリーがほしいです!」

それは透明感のある石でできたアクセサリーであり
首からさげるタイプの物だった。

「わかったわ。私とお父様とお母様の3人分を買いましょう」

お母様の提案に私は喜んだ。家族みんなが持つものができたからだ
今まで家族で同じ物を持ったことはない。
それを今回はじめて得ることができるのだ
お母様はお店の店主に何かを伝えると同じ物を3つ買ってきてくれた
これで家族みんなお揃いの物を得ることができた
私はそのことに喜びを感じていた

「お母様!また噴水のところまで来ましょう!」

「そうね。いいわよ」

お母様はとっても笑みを浮かべながら私のわがままを聞いてくれた
市場は今日も繁盛していた。あるものは今日の夕食を買いに来た者
あるものは街の外に存在するモンスターの一位置部分を転売している者たち

「お母様、モンスターはこの街にはいないのでしょうか?」

「いたら大変なことになるでしょう。そのために冒険者という制度があるのでしょう。ちゃんとお勉強しているのね」

冒険者、街の外を探索しモンスターを駆ることを生業にしている者たち。
冒険者になるには各街にあるギルドに登録しなければならない。
そうしなければ、報酬を得ることはできないし
冒険者として認められることはない

「お母様。今度はお城の外側部分ぎりぎりを見てみたいです」

街の周囲は直径10kmほどの円形状の城壁で囲まれている
その城壁を守るのが王立騎士団の勤めの1つなのだ

「リリナ、それは危ないから許可できないわ。あなたがもっと力をつけたら認めてあげるけど」

「力をつけたらですか?」

「そうよ。街の外は危険がいっぱいあるの」

お母様の言葉に私は素直に従った。
お母様にそこまで言われてはどうしようもない
でも、どうしても街の外ギリギリを見てみたい
また私に新しい目標ができた