あの日の翌日から私は勉強以外にさまざまな行事に参加させられ始められた
私にも分からない。なぜそんなことになったのかは。おかげで少しは成長した。
言葉遣いも変わっていった

「今日も暇ですね」

私がラウンジで紅茶を飲んでいると付き人のアリスはため息をついた

「毎日楽しいことばかりじゃないでしょう」

「わかっていますよ、アリス」

アリスは私専属のメイドである。
御用聞きから何でもこなしてくれるが、もちろん戦闘術も仕込まれているとの事だ
私は実際に見たことはないが
メイド長から聞いた話だとかなりのやり手だと

「ところでアリス。これからお城を抜け出して城下町に」

「だめです。姫様。明日には近隣のお国の方々とのパーティーが控えているのですよ」

確かにその通りだ。明日はパーティーが予定されている
何でも平和条約を結んで100周年を祝うらしい
そんなことに私まで巻き込んでほしくないものだが
巻き込まれている以上仕方がない

「しょうがない。それじゃ城内の散策で手を打ちましょう」

私の妥協案に珍しいこととひどいことを言ってくれた
私だって頑固者ではない
妥協だって何だってする
今はこの部屋から一刻も早く出たいのだ
私は籠の鳥ではないのだから

「良いでしょう。ただし、私が随行していることが絶対条件です」

「分かっていますよ」

城内とはいえ、危険がまったくないとはいえない。
もし万が一に備えるためアリスはいるのだから

「それじゃ、散策に行きましょうか」

「はい、姫様」

城内を散策している私とアリス。
何度も散策したことはあるのでどこになにがあるかは覚えている
それでも散策はしたくなるのだ
特にお母様が管理されている温室に行きたいのだ
あそこには珍しい植物などが植えられている

「まったくアリスは心配性ね」

「心配するのが私の仕事ですので」

何度同じやり取りをしただろう
退屈な日々を過ごしている。
毎日を。王国の役人たちが聞けば怒るだろうけど
今の私には関係のない話だ

「アリス、温室に行こう」

「かしこまれました」

私達は城内に設置されている大規模の温室に向かった
規模は大きい。城の面積の4分1を占めているのだから
私のお母様は、植物学に明るい学者様だ
お父様とは大学と言う教育機関で知り合ったそうだ。
そう昔、語られたことがあった

『もし、私が植物学を選んでなかったら彼と出会うことはなかったでしょう』

お母様は私にそういった
結局のところ、お母様はお父様のことを愛している
その事実だけは変わることはない
永久に変わらないのだ
お母様かお父様が裏切らない限り
裏切りとは不倫のことだ。
私はその時こうも聞いた
もし裏切られたらどうするのかと
そうしたらお母様はこう答えた

『きっと私は王女の立場を捨てるでしょう。あなたも着いて来てくれる?』

それはつまりお父様と別れるということだ
何故そんな話になったのか今になっても分からない。
そのときの私の返事は覚えていない
まだ、話の内容を理解できていなかったせいなのか
それとも他の理由なのか、今の私にも分からない
ただ1つ言えることがあるとすれば
お母様はお父様を本当に愛していると言うことだろう