教室で待っていると私は静かな雰囲気がある意味では良い経験だと思っていた
第2東京市にいたときはかなりぎすぎすした空気が多かった
ここではどこか悪い意味での『懐かしさ』を感じてしまう
それに今の『私』のことを知っている者はかなり限定されているようだ
過去の『僕』のことを疑っている人物はネルフの一部だけだろう
簡単に尻尾を出すわけにはいかない。それでは意味がないのだから
「できることなら彼らとの接触は避けたいわね」
のんびり教室で考え事をしながら待っていると地上から生徒たちの声が聞こえ始めた
登校時間になったようだ。私は心の中では少し不安を感じながらもこれからの新生活に楽しさも感じていた
何が起きるかわからないというのがどこか嬉しいのだ
私もある意味では度胸があるのかもしれない
いたずらを仕掛けるのが大好きな問題児のようなものなのかもしれないが、
実際にいたずらをするかどうかについてはわからない
私だって楽しい学園生活を送りたいと思うのは当然の権利である
誰からも強制されない平和な日常。
かつての『僕』の頃にはなかったそんな日常を迎えることができるなら最高である
誰からも命令されない平和で自由の時間を過ごすことができるなら、
私にとってはそれは人生を楽しむことができる
「本当に楽しい生活を送れたらいいけど」
そんなことを考えながら私は教室から外を眺めようとした
見てみると生徒たちが続々と登校していた
その光景の中に『僕の友人』だった彼らの姿を見ることができた
できることならもうかかわらない道を選んでいきたいと考えている
彼らにかかわると余計な面倒なことに巻き込まれることがわかっているからだ
好き好んで深淵をのぞき込もうと思うはずがない
「トラブルに巻き込まれなければいいけど」
問題が発生したら即座に対応できるように言い訳ぐらいは考えておいたほうが良い
些細なことで追及されるような事態は避けたいのだから
もう私は『ネルフ』とも『彼ら』とも関係がない
「失礼します。少し良いですか?」
別のことを考えていたので声をかけられて少し驚いてしまった
声をかけてきたのは『過去の友人』からだった
「渚カヲルと言います。初めまして」
「初めまして。今日から転校してきました水川カオリと言います」
それで何か私に何か気になることでもあったのですかと質問をすると昔の友人に似ていたのでと話をしてきた
彼は『僕』であることを疑っている。どこかで何か情報を獲得してきたので、
朝一番に接触してきた可能性が高いと私は考えた
「碇シンジ君を知っていますか?」
「ごめんなさい。私の知り合いにはいないから」
それに私は第2東京市にいたのでと返答した
彼は少しがっかりした表情を浮かべながらも、失礼しましたと言ってその場を去った