「まさか君が動いたわけじゃないよね?渚カオル君」
僕がカオリちゃんが本来なら眠っていた病室から出ようとしたときに彼が近づいてきていたことを知った
『渚カオル』が『あの計画』でどのくらい関わっていたかについてはよく理解しているつもりだけど
カオリちゃんが誘拐されたタイミングでここに現れたのはタイミングがあまりにも良すぎる
「僕は『彼』に救われた人間ですよ。こちらは一切関与していないので」
どこまで信用できるかについてはわからない
だが今はどんな些細な情報であっても見逃すわけにはいかない
状況を知るために。渚カオルは1つの小さな封筒を渡してきた
何が入っているのか聞きたいところではあるが、ここではもしかしたら盗聴盗撮がされているかもしれない
封筒を受け取ると僕は何事もなかったように、冷静という芝居をしながら病院内の廊下を歩いていく
病室から出ると近くにあるバス停でバスを待ちながら受け取った封筒の中を確認した
そこにはこう記載されていた
『ゼーレの分派がまだ生きている。彼らは第三新東京市東区にある現在は使用されていない倉庫を拠点としている』
これで決まりだった。カオリちゃんはゼーレの分派が誘拐した
穏便に問題解決する方がカオリちゃんへに心理的な影響は最小限にできる
ゼーレが絡んでいるなら、ありとあらゆる方法でカオリちゃんを救出する
必要なら『過去の俺』の実力で撃退する。そこからカオリちゃんを助け出す
「どんな方法を使ってでもカオリちゃんを救出しないと」
今は『俺』が使用できるあらゆる方法でぶっ潰してやる
『彼女』によって『俺』が『僕』として生きていることができる
カオリちゃんは本当は優しいのだ。本当なら憎まれ役なんてしたくない
でも自らの歩む道を他人に左右されることは嫌っている
「過去に囚われないで生きる。カオリちゃんは未来を見ようとしていた。そんな些細な願いを邪魔するなら・・・」
今までの妨害をしてくることは何度かあった。『僕』を使ってカオリちゃんの精神状況を追い詰める
これ以上、カオリちゃんの自らが選択した歩む道を邪魔するなら、『過去の俺』に戻ってすべてを破壊する
カオリちゃんが何も妨害されることなく歩めるように下支えをするのが『俺』ができること
「『俺』がどんなに汚い方法を使ってでも見つけ出す。もうカオリちゃんを傷つけさせるわけにはいかない」
早速、その今は使われていない倉庫に向かった。
目的の位置の近くまで来るとその場所から少し離れたところの駐車場に車を止める
ここからはゆっくりと相手に気づかれないように接近していくことが求められる
車に積み込まれているアタッシュケースとゴルフバッグにはアサルトライフルが隠されている
いくら第三新東京市警察の『形式上』の立場があってもこれだけの銃を持っていることは知られるわけにはいかない
だけど、それは平時の話だ。カオリちゃんを助け出すためならどんなものを利用する
「とにかく家に帰ってあるだけの武器を持ち出すしかないね」
あのマンションの僕の部屋には表向きは『おもちゃ』としているが、それらの銃はすべて『本物』である
隠すとするならあえて隠さない方が良いということもある