「今はとにかくジオフロントの私たちの宿舎に向かわないと」
ルミナさんが運転する車で助手席にはユウさんが乗っている
私は後部座席で隠れる体制でいるようにと言われている。目立っていたらまた狙われる。
このセダンの車は完全に防弾仕様だが対物ライフルの銃弾なら貫通するかもしれない
私に影響がでないようにするために用意されている車ともいえる
「また穴倉に戻ることになるんですね」
ジオフロントは私にとっては穴倉である
地獄に落とされるような目に合うことになるのと同等である
「カオリちゃん。僕が完璧にガードするから。それに今日からはルミナさんも一緒に住んでくれるから」
ユウさんのフォローにそれではまるで意味がないと回答したくなった
切り離された間柄だったのにこれからは状況が異なる
ジオフロントの宿舎となるとネルフ関係者と接触する回数は増えるかもしれない
それは私にとっては望ましい事ではない。もう縁を切りたいのだから
「それにしても本気で攻めてきたわね。対物ライフルの弾丸で狙ってくるなんて」
「それはこちらも驚きだよ。防弾ガラスを破って攻撃してくるなんてなかなか大胆だね」
ルミナさんを怒らせたらとんでもないことになることはわかっていない連中だろうねとユウさんが言った
確かにルミナさんを怒らせるようなことをすればとんでもないことになることは間違いない
敵に回したら怖すぎるほどの相手であることは私もすでに理解している
「ちなみにルミナさんはカオリちゃんと一緒に寝るのかな?」
ユウさんがルミナさんを少しからかうような言い方をすると車内の空気が一気に冷凍庫並みに寒くなった
殺されたいのとルミナさんは殺気を放っていた
私としてはできればこんな空気になるのは好ましいとは言えないしなりたくない
「冗談だよ。ルミナさん。本気にしないで」
「笑えない冗談を今は受け付けるほどの余裕がないことをよく理解しておくことね」
今はそんな余裕がないことは間違いない
少しでも問題解決につながるならリスク覚悟で突破するしかないぐらいの危険地帯である
今の私の周辺はそんな感じなのだ
「ユウさん。私はルミナさんと一緒のベッドでは寝ませんよ。寝室は一緒であることは認めますけど」
「当然よ。一緒のベッドで寝ていたら対応に遅れることもあるのよ」
そのことはあなたが一番理解しているはずよねとルミナさんはユウさんに言った
確かにその通りだ同じベッドで眠っていたら対応が遅れるかもしれない
それに私としてはまだ『僕』の感覚が残っているので女性と一緒のベッドで眠るのは抵抗がある
それだけははっきりしている。別に差別とかはするつもりはないし、そういう人がいることも理解している
ただ私は『僕』であったこともあったのだ。簡単に『私』と『僕』が納得できることではない