俺たちはヘリで横須賀港に向かっていた。
着陸地は横須賀女子海洋学校のグランドとなっている
ヘリはその後すぐに離陸してライチに戻す
ヘリは機密の塊である。こちらの情報が漏れることは避けなければならないことを考えると当然である
連絡手段は携帯型衛星通信装置を使ってライチと行うので連絡交信は問題ない
「それにしてもこのヘリを見たら多くの人が驚くでしょうね」
護衛をしてくれている精霊さんの言葉通りである
大きなリアクションをしてくれることはちょっとしたサプライズになるだろう
「そういうのも期待しているところだ。この世界は自由に有人飛行ができる世界ではないからな」
多くの人は気球のようなものを見たことはあってもそれらに人を乗せるという概念はない
ましてやヘリコプターなど見たこともないのだから驚くのも当然である
ヘリを操縦してくれているのも女性の精霊さんである
彼女は常にレーダーに反応がないか監視を強化するようにしながらも安全な飛行を心掛けていた
「いつ砲撃があるかわからないからな。往復は気を付けてくれ」
俺の言葉にもちろんですと回答した
俺としても仲間を失うようなことはしたくない
仲間を失うくらいなら俺は敵を攻撃することに何のためらいを持つことはない
それが戦場というものである
「本当に苦労するな」
「同意見です」
「問題は俺たちの今後だ。かなり危険な立ち位置にいることは間違いない」
こちらの情報を漏らさないことが何よりも重要であることは言うまでもない
問題なのはこちらに対して相手がどう動いてくるかだ
海上安全整備局がこちらをどのように利用するつもりでいるかによって行動が変わってくる
必要ならライチからトマホークミサイルをどこかに撃ち込むことを決断することになる
その結果がどうなるかは想像できる。それも簡単に
誰かが傷つくことになることになるということである
それも1人や2人ではない。大勢の人々が命を落とす戦闘になることに
それくらいの覚悟がなければ、艦長を務めることはできない
俺にはライチというイージス艦を守ること。それを最優先にしなければならないという重要な責務がある
そのためには手段など選んでいるような余裕がないなら、俺はどんなに厳しい選択でもして見せる
それが艦長としての心構えだと俺は思っている
敵の損害を恐れて攻撃できないようであれば部下であり大切な仲間を守ることはできないのだ
「とにかく今は状況の見極めが重要だ。海上安全整備局がどんなことを考えているか」
「わかっています。もしもの時の準備はいつでもできています」
ヘリは着実に横須賀港に向かっていた
これからが大きな正念場である