俺と簪は水野ユウ一等陸佐との訓練を終えるとパトロールに入ることにした
8時になり、俺と簪は朝食を食べるために食堂に向かった
「それで楯無とはどうなんだ?」
「お姉ちゃんはまだ戻ってくるべきだと言っています」
でも私は戻るつもりはありませんと簪ははっきりと言った
まぁ、本人にここまでの決意をさせたのが楯無への反抗だとするならかなり荒療治と言える
もう簪は自分の道を決断して歩きだしている。それも最も危険な道を
本人は自分の決断を間違っていないと確信していた
それはそれで良いことだ。決断は自分自身でしてこそ価値がある
他人から誘導されているだけではそれは決断とは言えない
「これから毎日、近接戦闘術の訓練は継続してくれることになった」
「自衛隊の皆さんは任務があると思うのですが」
簪の疑問に俺は教官はあの水野一等陸佐だと話した
「水野一等陸佐は近接戦闘のプロだ。自衛隊の訓練学校でも教官を務めていたくらいにな」
教え方は厳しいが基本から身に着けるには最適な教官だと簪に話をした
基本ができていれば応用は難しい事ではない。
「一夏さんは、その、フェンリルって人とはどんな風に?」
「俺の場合はまずは基礎を叩きこまれた。徹底的にな。もう鬼のような日々だったが今は感謝している」
おかげで俺は今も生きていられる。
もし先生から教えられたことを完全に習得できなければ死んでいた
それだけに今の自分の姿があるのはすべて先生のおかげだ
そして真実も知ることはできた。
「先生を嫌ったりしていない。むしろ出会えたことに俺はうれしいと感じる」
「師弟関係としてですか」
「まぁな。先生からはいろいろな有力者に顔を売っておけと言われて、数多くの仕事を引き受けた」
そういった経験のおかげで俺は裏社会でも生きていくことができた
もし何も知らずに突っ込んでいたら俺は死んでいた。
「ただ、先生は突然抜き打ちで確認してくるからな。気を休めることはあまりない」
この前の学校での先生からの狙撃についてのことを思い出してしまう
「ずいぶんと会話が弾んでいるわね。織斑一夏」
会話に割り込んできたのは楯無だ。顔は表面上は笑っていたが、敵意を感じる表情にも近かった
「せっかくの朝食をまずくするのはやめてくれると嬉しいんだが。簪、少し席を外してくれ。ちょっと楯無と話がある」
俺がそう言うと簪は別の席に移動した。
その席に楯無が座ってどこか深刻そうな表情をしていた
「それで、俺に近づいてきたのは何かあるんだろう」
「・・・・・・・・・・・・やっぱりやめておくわ」
楯無はそう言うと席を立ち移動していった。
「何かあったな」